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植木等のレコード

(最終更新12/07/04)

追憶の東芝レコードへ行く


植木等さんは私が卒業した東洋大学の大先輩にあたります。長男の名前も植木先輩から(勝手に)いただきました。私が在学していた時代の東洋大には,植木先輩にまつわる逸話や伝説がいくつか伝わっていましたが,いま思えばそれらはおそらくまったくの作り話でした。たとえば「〜年の大学祭に来て大騒ぎして酒を飲んで金も払わずにいつの間にか消えた」みたいな話ですが,じっさいには植木先輩は酒は飲まない人でした(偽者がいたのかもしれません.....)。

植木等やクレイジーキャッツ関係のレコードについては以前からこつこつと集めていましたが,こうしたページで紹介するのはある程度コレクションが充実してからと考えていました。ところが,そんなことをいっている間に植木先輩が亡くなってしまいました。最近になって,ずっと手に入らなかった「だまって俺について来い」のシングル盤を手に入れることができたので,この機会にページを作ろうと思います。これから私なりの追悼の気持ちも込めてすこしずつ更新していきます。なお,すべての写真はクリックするともっと大きな画像を見ることができます。

植木等のシングル盤

植木等/ハナ肇とクレージーキャッツの所属する渡辺プロ所属タレントのレコードはおもに東芝音工(のちに東芝EMI),キング,ポリドールから出ていました(73年以降はナベプロ出資のワーナーパイオニアが加わる)。植木等のシングル盤はほとんどすべてが東芝,2枚がキングから出ています。(発売日の情報は東芝EMI/TP-90425「クレイジーキャッツ・デラックス」の解説書やネット情報によりますが,一部疑問もありますのであくまでも参考です。)


JP-1300
カードの裏
レコード
JP-1300 スーダラ節(7H-807)/こりゃシャクだった(7H-808) 赤盤
昭和36年8月20日発売
私が母のお腹の中で何も知らずにだんだん大きくなっている頃に,外の世界ではこんなとんでもない曲が大ヒットしていました。青島幸男作詞・萩原哲晶作編曲,この後この名コンビが植木等の多くのヒット曲を生み出していきます。
JP-1350
カードの裏
レコード
JP-1350 ドント節(7H-909)/五万節(7H-910-21) 赤盤
昭和37年1月20日発売(再録音バージョン)
B面のマトリックスナンバーに「-21」がついているのは歌詞の差し替えで再録音/再カッティングになったからだと思われます。
JP-1451
カードの裏
レコード
JP-1451 ハイそれまでョ(7H-1119)/無責任一代男(7H-1120) 赤盤
昭和37年7月20日発売
私はこの年の4月22日生まれです。自宅で仕立屋をしていた私の父はいつもラジオを聞きながら仕事していましたから,生後3ヶ月の私の耳にもこの歌が聞こえていたはずです。
JP-1490
カードの裏
レコード
JP-1490 これが男の生きる道(7H-1197)/ショボクレ人生(7H-1198) 黒盤
昭和37年12月20日発売
「これが男の生きる道」は「オチのない」歌。まだこれは最後に笑えますが後年の「おとこ節」などになると泣けるだけで笑えなくなります。歌がうまいだけに身につまされるのです。
EB-890
カードの裏
レコード
EB-890(キング) いろいろ節(F3294B-1)/ホンダラ行進曲(F3295B-1)
昭和38年4月20日発売
キングレコードから出た植木等シングルの1枚。「世に無意味な歌は数々あれど,無意味について歌った歌は少なく....」と大瀧詠一が評しているように「ホンダラ行進曲」は衝撃的な歌です。
EB-937
カードの裏
スリーブとレコード
EB-937(キング) どうしてこんなにもてるんだろう(F3522-1-2-2)/ギターは恋人(F3523-5)
昭和38年7月20日発売
キングレコードから出た植木等シングルのもう1枚。B面の「ギターは恋人」は植木等作詞作曲,おそらくギターも弾いています。ほんとはこういう唄が歌いたかったんでしょうね。わずか3ヶ月の間にカードのキングレコードのロゴマークが変更になっています。
JP-1656
カードの裏
レコード
JP-1656 学生節(7H-1531)/めんどうみたョ(7H-1532) 黒盤
昭和38年12月20日発売
「学生節」は山本直純の作編曲で直純らしい音になっています。いっぽう「めんどうみたョ」は塚田茂作詞・萩原哲晶作編曲ですがどうして「めんどうみたョ」になるのかわからない不思議な唄です。
TR-1096
カードの裏
レコード
TR-1096 バカは死んでも直らない(TR1-191)/ホラ吹き節(TR1-192) 黒盤
昭和39年6月20日発売
東芝レコードの番号システムが変更されました。マトリックスナンバーの付け方も変更されています。東芝はプリフィックス(アルファベットの記号)ごと別々に番号をふるので番号から発売時期などを推測しにくく,番号は同じでも内容が違うレコードが複数存在するところがコレクター泣かせです。
TP-1021
カードの裏
レコード
TP-1021 だまって俺について来い(TP1-41)/無責任数え歌(TP1-42) 赤盤
昭和39年11月15日発売
植木等のシングル盤では最初のステレオレコードです。ステレオになってまたレコード番号がリセットされて前に戻ってしまっています。私はこのシングルが植木等,青島幸男,萩原哲晶の最高作だと思います。写真もすごすぎ。
TP-1066
カードの裏
レコード
TP-1066 ゴマスリ行進曲(TP1-131)/悲しきわがこころ(TP1-132) 黒盤
昭和40年4月5日発売
「ゴマスリ行進曲」の金管のアレンジがあまりにさわやかなのがかえって怖くなります。萩原哲晶は軍楽隊出身で「何を作ってもマーチになっちゃう」というようなことを言ってたそうで,これとか前作「だまって俺についてこい」の金管アレンジはその真骨頂といえます。
TP-1182
カードの裏
レコード
TP-1182 遺憾に存じます(TP1-363)/大冒険マーチ(TP1-364) 黒盤
昭和40年11月15日発売
植木等の歌の中で私がもっとも好きなのが「遺憾に存じます」です。演奏は寺内タケシとブルージーンズ。イントロがビートルズの「抱きしめたい」のパロディだというのは比較的最近まで気付きませんでした。
SDR-1163
ジャケット裏
レコード
SDR-1163 逢いたくて逢いたくて(SDR-1163A)/あんたなんか(SDR-1163B) 黒盤
昭和41年1月5日発売
A面はいわずとしれた園まりの大ヒットですが,B面は園まりと植木等のデュエットになっています。作編曲は宮川泰ですが,作詞が安井かずみというのがちょっと面白いです。ちなみにA面は岩谷時子作詞。クレージー映画に出てくる園まりはめちゃくちゃに可愛いですね(08/02/03追加)。
TP-1248
カードの裏
レコード
TP-1248 何が何だかわからないのよ(TP1-495)/シビレ節(TP1-496-2) 赤盤
昭和41年3月15日発売
マトリクスからすると「何が何だか〜」がA面です。カードは2つ折になっていて内側には映画「日本一のゴリガン男」の解説が載っています。「シビレ節」は歌詞の「中気」という言葉が差別的ということでごく最近まで復刻盤ではちゃんと聞けませんでした。このレコードの発売から3ヶ月後にはビートルズが日本にやってきます。
TP-1368
カードの裏
レコード
TP-1368 それはないでショ(TP1-735)/笑えピエロ(TP1-736) 黒盤
昭和41年12月5日発売
ビートルズが来ても植木等はとくにかわらず歌い続けます。これは植木等のシングル盤としてはとても地味なものですが,B面の「笑えピエロ」(浜口庫之助作詞作曲)は名曲です。植木等の歌は「聞くと元気が出る」のが特徴ですが,この頃から励ましかたが変わってくる気がします(植木等はこのとき40歳)。
TP-1481
カードの裏
レコード
TP-1481 花は花でも何の花(TP1-961)/余裕がありゃこそ(TP1-962) 黒盤
昭和42年6月15日発売
「余裕がありゃこそ」は妙な寂寥感を伴う歌です。高度成長で万博に向けて突進中なのにこの寂しさは何なのか。この月には美空ひばりの「真っ赤な太陽」がコロムビアから発売されています(08/02/03追加)。
TP-1527
カードの裏
レコード
TP-1527 万葉集(TP1-1053)/たそがれ忠治(TP1-1054) 黒盤
昭和42年10月5日発売
どちらも絶対に日本でしかあり得ない音楽。「たそがれ忠治」は「めんどうみたョ」の続編的な股旅ものですが,本編よりも寂しさが6倍くらい増量されています(08/02/03追加)。
TP-2186
カードの裏
スリーブとレコード
TP-2186 あんた(TP-2186-A 1S1)/ウンジャラゲ(TP-2186-B 1S1) 黒盤(見本盤)
昭和44年7月1日発売
前の「万葉集」以来1年9ヶ月ぶりのシングル。昭和43年には植木等のレコードは1枚も出ていないことになります。A面は久しぶりにクレージーメンバーが交代で歌い,コーラスも聴ける佳曲。B面はのちに志村けんの「だいじょぶだぁ」でほぼオリジナルアレンジのままリバイバルしています。赤いスリーブは見慣れないものですが確かに東芝音工のものです。マトリックスナンバーのつけ方がまた変更になっています(08/06/06)。
TP-2234
カードの裏
レコード
TP-2234 アッと驚く為五郎(TP-2234-A 1S10)/酒のめば(TP-2234-B 1S8) 黒盤
昭和44年12月20日発売
A面はNTVの人気番組「巨泉・前武ゲバゲバ90分」でのハナ肇のセリフに便乗した曲。セルジオ・メンデス風のサウンドに「ナンセンス」「パンタロン」といった流行語がちりばめられています。ゲバゲバにクレイジーが出てこの歌を歌ってるのを見たような覚えがあるので,挿入歌だったのかもしれません。個人的にはB面の方が好きで,このときまだ日本がバリバリの「戦後」だったことを思いおこします。(08/05/14)。
TP-2295
カードの裏
レコード
TP-2295 全国縦断追っかけのブルース(TP-2295-A 1S14)/おとこ節(TP-2295-B 1S8) 黒盤
昭和45年7月5日発売
A面は植木等,桜井千里,谷啓のソロに「(コーラス)ハナ肇とクレイジーキャッツ」名義,B面は植木等のソロ名義になっています。植木等関係のシングル盤の中でも最も希少なものですが,ついに入手することができました。B面の「おとこ節」は植木等が録音した歌の中でも最も悲しいもののひとつだと思います(12/07/04)。
TP-2505
カードの裏
スリーブとレコード
TP-2505 この際カアちゃんと別れよう(TP-2505-A 1S2)/こんな女に俺がした(TP-2505-B 1S3) 黒盤
昭和46年8月5日発売
A面は「ハナ肇とクレイジー・キャッツ」名義,B面はアルバム「植木等/女の世界」からのシングルカットで植木等名義になっています。この歌の「この際カアちゃんと別れよう〜」というフレーズは大塚の「ボンシチュー」のCMで流行したので,子どもの頃よく口ずさんだ覚えがあります。「為五郎」と同様の便乗ソングのひとつというわけです(08/11/30)。
TP-10569
カードの裏
スリーブとレコード
TP-10569 これで日本も安心だ(TP-10569-A 1S4)/スーダラ節'79(TP-10569-B 1S7) 黒盤
昭和54年4月20日発売
植木等の久しぶりのシングル盤。このころはいろいろなことで植木等やクレイジーキャッツの人気がリバイバルしていた時期だったと思います。植木等名義のシングル盤で東芝EMIから発売されたのはこれが最初で,スリーブはすでに最後期の緑のものになっています。ひとつ前のTP-2505は定価400円でこれは600円になっていますがその間にシングル盤が500円だった時代があります。そう考えると植木等のシングルには発売時に500円だったものはないのかもしれません。(12/07/04)。

このあと植木等の東芝シングルには昭和58年11月の「毎度毎度のおさそいに」(TP-17564)と昭和61年4月の大瀧詠一プロデュース「実年行進曲/新五万節」(TP-18000)の2枚がありますが未入手です。

この項は続く.....

植木等のLP盤,コンパクト盤

植木等名義のLP盤(東芝音工)は3枚あります。ハナ肇とクレージーキャッツ名義は4枚ある(東芝およびキング)と思います。コンパクト盤は4曲入りの7インチ(17センチ)盤ですが,欧米の4曲入りEP盤が45回転なのに対し,日本のものは33回転です。植木等/クレージー関係のコンパクト盤は東芝で4枚出ています。

JPO-1260
ジャケットの裏
レコード
JPO-1260 植木等 大いに唄う
(JO-521/JO-522) 赤盤 昭和38年2月発売
10インチ(25センチ)のモノラル盤で,ヒット曲が8曲入っています。全般的にシングル盤より良い音です。珍しいといえば珍しいですが,ネットオークションでは定期的に見かけます。
TP-4003
ジャケットの裏
レコード
TP-4003 スーダラ節,ドント節/ハイ、それまでよ,これが男の生きる道(TP4-5-31/TP4-6-31) 赤盤 昭和39年10月5日発売
4曲入りコンパクト盤。美しい赤盤です。面白いのは,このレコードの音が疑似ステレオ(モノラル録音をステレオ風に細工したもの)になっていることです。ステレオで聴くと,歌があるときにはセンターに音が集められているのが間奏などになると音が派手に左右に分かれるのがとても面白く,東芝技術陣の面目躍如といえます。ジャケットやレーベルのどこにもステレオ表記がないので気づくのが遅れましたが,植木等の疑似ステレオは珍しいと思います(08/03/28修正)。
TP-4007
ジャケットの裏
レコード
TP-4007 学生節,馬鹿は死んでも直らない/めんどうみたョ,ホラ吹き節(TP4-13-1/TP4-14-1) 赤盤 昭和39年10月5日発売
4曲入りコンパクト盤。期待通りこれも疑似ステレオで,とても上手にステレオ化されていますが,私が入手したものは盤がかなり傷んでいるのが残念です(08/05/14)。
TP-4047
ジャケットの裏
レーベル
TP-4047 悲しきわがこころ,ゴマスリ行進曲/だまって俺について来い,無責任数え歌(TP4-93/TP4-94) 黒盤 昭和40年6月15日発売
ステレオ4曲入りコンパクト盤。袋型のジャケットにレコードといっしょに歌詞カードが封入されています。東芝の復刻CDは良い音なのであまりオリジナル盤のアドバンテージは感じませんが,これに関してはCDよりずっと鮮度の高いすごく良い音です。
TP-4114
ジャケットの裏
レコード
TP-4114 それはないでショ,チョット一言多すぎる/スーダラ節,シビレ節(TP4-227-1S 2/TP4-228 1S 5) 赤盤 昭和42年4月5日発売
ステレオ4曲入りコンパクト盤。植木等の最後のコンパクト盤です。ジャケットの写真が41歳にしては妙にオヤジ臭いのが気になります。「スーダラ節」はTP-4003に収録と同じ疑似ステレオになっています。「シビレ節」はもちろんカットなしのオリジナルバージョンです。(08/07/16)
TP-7155
ジャケットの裏
レコード
TP-7155 ハイおよびです!(TP7-309 1S/TP7-310 1S) 赤盤
昭和42年5月5日発売
ステレオ12曲入りのフルアルバム。シングル盤の破天荒な植木等や萩原哲晶アレンジだけを期待するとややがっかりするかもしれませんが,植木等という人の歌のうまさを実感させるレコードです。むしろこれが植木等自身の本当の姿なのかもしれません。「花と小父さん」(実はこれがオリジナル)「笑えピエロ」は名曲の名唱です。

この項も続く.......



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