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ビートルズのレコードレーベル

 ビートルズのレコードレーベルの種類と変遷について御紹介します.内袋(註)やジャケットなどについても必要に応じて触れます.特に断りがない限り,レーベル写真は私のコレクションからのオリジナルスキャンです.なお<写真>は写真へのリンクを示します.クリックするとそこで述べられているものの写真を見ることができます.また,レコードレーベルの写真がその拡大写真にリンクしている場合もあります.

(註)LPレコードはジャケットに直接ではなく,紙やビニールの内袋に収められた上で,ジャケットに入っています.紙袋の場合,それにプレス年代に応じた様々な注意書きや広告などが印刷されていることがあり,コレクション上のポイントになっています.

<第2回 アメリカ編へ>

第1回 イギリス編(25MAY99)

パーロフォン・レーベル

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ビートルズのレコードがEMIから出ていることはいうまでもありませんが,そのレーベルは国や時代によって様々です.とくに,ビートルズのレーベル「アップル」が発足する(1968年)までは,各国で全く違うレーベルのレコードが発売されていました.
イギリスではビートルズのレコードは最初EMI傘下のパーロフォン(Parlophone)レーベルから発売されていました.現在でも「Please Please Me」から「Magical Mystery Tour」までのアルバムではCDにもパーロフォンマークがついています.パーロフォンレーベルにも時代によっていくつかの種類があります.「Please Please Me」は最初「ゴールドレーベル」といわれるレーベル<レコードコレクターズ誌より資料写真>で発売されましたが,これは見たことはあるものの,私の手元にはありません(時価数万円〜数十万円!).「Please Please Me」の2ndプレス以降,および「With The Beatles」から「Oldies」までのアルバムのオリジナルは「イエローパロフォン」(写真左)です.イエローパーロフォンは多くの場合取り扱い解説文付きの内袋<写真>に入っています.1970年代に入るとパーロフォンのレーベルは「額縁パーロフォン」(写真中)に変わります.額縁パーロフォンにもレーベル上の製造国表示の位置と内容に3種のバリエーションがあり,70年代初頭には広告入りの紙袋<写真>,それ以降は著作権警告文<写真>つきの白い紙袋に入って,ジャケットに納められています.この警告文の最後の住所が「Evelyn House」のものが70年代,「Ganton House」のものは80年代以降のプレスです.
シングル盤(写真右)はアメリカ式のドーナツ盤ではなく,中心部を取り去るとジュークボックスで使えるドーナツ盤に,取り去らないとそのままターンテーブルに置けるタイプのものです(日本でもビクター系はこの形式でした).シングル盤はパーロフォンの社名入り紙袋<写真>に入っています.この時代のイギリスには最近のような歌手の写真入り紙袋はありません.ちなみに,シングル盤に表は写真,裏は歌詞のカードがついて,レコードといっしょにビニール袋に入っているというのは日本独自の方式です.

アップル・レーベル

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1968年の「White Album」以降のビートルズのレコード,およびアップルが活動を停止する1976年頃までのメンバーのソロ,その他のアップルアーティストのレコードはすべてアップルレーベルから発売されています.アップルレーベルはアメリカ盤がすこし違う以外は,全世界同じデザインですし,シングル盤も同じレーベルのまん中を抜いたものになっています.写真は左が1面(A面)右が2面(B面)です.ただし,ソロアルバムでは独自のデザインを用いたレーベルが多く,かならずしもこのレーベルがすべてではありません.
アップルレコードごく初期のオリジナルは黒い紙の内袋に入っていましたが,70年代初頭には白い紙に変わります(日本盤は80年代まで黒の紙袋に入っていた!).いずれもアップル独自の著作権警告文<写真>が印刷されています.これも,70年代後半には一般的なEMIの内袋に変わります.このとき,「ジョンの魂」などもともと歌詞付き内袋だったアップルのイギリス盤はすべて白い内袋に変わってしまいましたので,歌詞付き内袋のついたイギリス盤アップルは比較的初期のプレスということになります.

イギリス盤のジャケット

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1980年代初頭までのイギリス盤のジャケットは,表側がラミネートコーティングされていました.「For Sale」「Abbey Road」などジャケットの両面がカラー写真の場合は全面コーティングでしたが,他のアルバムのように表だけがカラーの場合,表だけがコーティング仕上げ,裏はザラ紙そのままでした.この仕上げの仕方は製造年代によって異なり,70年代初頭までは表と裏を別々の紙で作り,表の紙を裏の方へ折り返す形でジャケットが組み立てられています(「折り返し」タイプ:写真左,写真はすべてジャケット裏側から見たもの).70年代に入ると全体を1枚の紙で作り,表面だけにコーティングして折り曲げて組み立てる方式になり,「折り返し」はなくなりますが,コーティングされている部分とそうでない部分の境目ははっきり分かります(写真中).80年代にはコーティングが廃止され,全体がつやのある紙に印刷されるようになり,全く味気ないものに変わります(写真右).
uk-kata イギリス盤のジャケットは,肩にも特徴があります.日本盤やアメリカ盤だと肩にもレコード会社の名前やレコード番号など,たくさんの文字が書かれていますが,EMIのイギリス盤は演奏者とタイトル,場合によってはタイトルだけしか書かれておらず,レコード番号もありません.活字も非常に味のあるものです.ただし,番号がないのでコレクション的に集めて棚に並べたり,整理したりする時にはちょっと不便です.
ジャケット裏の下には製造元のEMIレコードの住所などが書かれており,それよりもっと下を見ると,ジャケットの印刷製造者の名前が書かれています<写真>.いくつかのメーカーがあったようですが,最も一般的なのは「Garrod & Lofthouse Ltd.」という会社です.この会社,今はどうなっているのでしょうか.CDケースの印刷でもやっているのかな?

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