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アメリカではビートルズのレコードはキャピトルレコードから発売されています.キャピトルは1940年代に設立された独立系レーベルでしたが,1950年代にEMIの系列に入ります.これ以降,イギリスEMIやドイツエレクトローラなどEMI系レーベルの原盤はアメリカではキャピトルから配給されるようになります.とはいっても,アメリカのレコード市場はイギリスより大きく,売上高などの点でキャピトルはEMI傘下というより,ほぼ対等な関係だったようです.その証拠に,ビートルズがイギリスで売れ出した頃,キャピトルはアメリカでは売れそうにないとビートルズのレコードを発売することを拒否,その結果初期のビートルズのレコードがアメリカではVee-Jay,Swanなどの弱小レーベルから発売されたという経緯があります(これらのレコードは現在では偽物が出るほどのコレクターズアイテムです).ビートルズのアルバムが正式にキャピトルから発売されるのは「抱きしめたい」をフィーチャーした「Meet The Beatles」(Capitol ST/T 2047,STはステレオ,Tはモノラル)からです.
アップルレコードが発足するまで,キャピトルはビートルズのアルバムを独自の選曲で発売していました.その最大の理由はアメリカでは著作権料が高く,イギリスオリジナルのように14曲入りにすると採算がとれないということでした.そのためキャピトルのアルバムは12曲入りとなり,あまった曲は編集アルバムになったり,別のアルバムに紛れ込んだりします.もっとも極端な例が「Rubber Soul」(ST/T 2442) <写真>で,なんとオリジナルから4曲が削られた上に「HELP」からの2曲が両面冒頭に加えられて,オリジナルとはまったく違う雰囲気のアルバムになっています(個人的にはこの選曲も好き).また,音もアメリカ向けにリミックスされて,オリジナルとは違う場合があります.これらのアルバムは世界共通のCD登場と同時に廃盤になり,結果としてこの時代のキャピトル編集アルバムはコレクターズアイテムになっています.
しかしコンセプトアルバムの「SGT Peppers」はさすがのキャピトルも編集できずそのままの内容で出ましたし(ジャケットは微妙に違う,SMAS/MAS 2653),アップルレコードはすべてのレコードを世界同一内容で発売することを求めたため,これ以降はアメリカ独自の編集はなくなりますが,アップルアーティストについてはBadfingerのMagic Christian(ST3364)のように相変わらず12曲入りを作っています.
キャピトルのビートルズアルバムは実に多様なレーベルで発売されています.それらを下に表で示します.
写真 | レーベル名 | 解説 |
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Rainbow Capitol | 1963年の「Meet The Beatles」から1967年の「Magical Mystery Tour(MMT)」(SMAL/MAL2835)までのアメリカ盤オリジナルはこのレーベルです.初期のものはステレオとモノラルでレーベルのデザインが多少違います.また,65年頃までのオリジナルはレーベルに艶がありますが,以降のものはザラ紙風のものが多くなります. |
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U.S. 1st Apple | 1968年の「The Beatles」(SWBO101)から1969年の「Abbey Road」(SO383),「Hey Jude(The Beatles Again)」(SW385)までのオリジナル(「Let It Be」AR34001のオリジナルはリンゴが赤い特殊レーベル),1971年頃までのソロアルバム,アップルアーティストのアルバムのオリジナル,および1968年から1971年頃までにプレスされた「Meet」から「MMT」までのレーベルです.印刷の色はイギリス盤に近く,背景もほとんど真っ黒ですが,イギリス盤のレーベル周囲にあった筆記体の著作権警告文はありません.B面レーベル下部には「MFD. BY CAPITOL RECORDS INC.......」という表記があります. |
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U.S. 2nd Apple | 1971〜72年頃以降のアップルアルバムのオリジナル,および1976年頃までにプレスされたビートルズ,ソロ,およびアップルアーティストのアルバムのレーベルです.リンゴの色が少し淡くなり,背景の色は黒から濃緑に変わっています.また,B面のCapitol表記はなくなり,かわりにA面レーベルの下部に「MFD. BY APPLE RECORDS, INC」の表記があります.この時期のキャピトルの盤質はあまり良くなく,安い輸入盤を買ってよくノイズに苦しめられました. |
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Orange Capitol | 1976年以降も本来アップルレーベルで発売されたアルバムはしばらくアップルレーベルのままプレスされますが,「Meet」から「MMT」までのアルバムは漸次キャピトルレーベルに戻されます.といってもこの時期のキャピトルのレーベルはこのオレンジレーベルになっています.紙質はきめの粗いざらざらした感心しないものです.このころはレコード自体も薄くてペラペラです. |
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Purple Capitol | 80年代にはキャピトルはレーベルを古典的なロゴに戻します.これはレインボーレーベルより前に使われていたレーベル(Miles Davis "Birth of the Cool"などにあります)に近いデザインです.ビートルズアルバムもごく最後の頃のプレスではこのレーベルのものがあるようです.このころのキャピトルプレスはかなり盤質が良くなり,安心して聞けます.ただし盤は薄いし,ジャケットも薄い紙一枚の味気ないものです.キャピトルは80年代後半になると今度はレーベルをレインボーレーベルに戻します.そしてCD時代になります.ビートルズのCD発売後に同じ内容のデジタルリマスターLPがアメリカでプレスされましたが,これらはレインボーレーベルにパーロフォンマークがついた変則的なものでした. |
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Green Capitol | 番外編.1968年頃にキャピトルのLPレコード番号が2999番まで届いてしまい,つぎを3000番にしないで101番から始める,ということが起こります(3300〜3400番台はのちにアップルレーベルのアルバムに用いられます).100番台まではレインボーレーベルですが,200番前後からレーベルも新しくなりました.それがこのグリーンレーベルで,オレンジレーベルの現れる74年頃まで続きます.私はこのデザインがけっこうイモくて好きです.ただし,このころはビートルズ関係はすべてアップルレーベルですので,論理的にはこのレーベルのビートルズアルバムは存在しないはずです. |
アメリカ盤のジャケットは,MMTまでとそれ以降で作り方がまったく違います.古いジャケットはボール紙を2枚重ねたものに,ジャケット裏側の印刷された薄い紙をジャケット裏方向から巻き付け,薄紙の貼りしろがジャケット表側に出た上に,ジャケット表の薄紙を貼るという手の込んだ方法で作られています.これはキャピトルとワーナーという西海岸2大レーベルの60年代のジャケットに共通の手法です.写真を見てください.これはRevolverですが,上の「File Under: The Beatles」(店の棚のビートルズのコーナーに分類せよということ)とレコード番号の書いてある部分は裏側から回ってきている紙,ジャケット絵と「Stereo」と書いてある部分は表側から貼った紙です.文字の間のパックマンが下を向いたようなマークはステレオ/モノラル表示,モノでは真ん中の割れ目のないただの半円になります(一部例外あり).これらのジャケットは表面紙が薄いので,ジャケットは容易に表側と裏側に分裂してしまいます.古いもので状態の良いのが少ない理由.
「The Beatles」はダブルジャケットでちょっと例外ですが,その後の「Yellow Submarine」(SW153)以降のジャケットは一般的な,ボール紙に表側から先に薄紙を貼っていく方式になり,「File Under」などの面白い表示もなくなります.それでもMMT以前のアルバムについては初期のシステムが維持されていましたが,80年代にはボール紙の上に薄紙,というシステム自体消滅して,厚紙にジャケットを直接印刷して組み立てるタイプに替わります.その後CD時代になり....以下同文.
内袋は70年頃まではカタログになっています <写真>.内袋のカタログ写真は実物と微妙に違うことが多く,こういうジャケットもあるのかと思って血眼で探すコレクターもいました.その後はただのザラ紙袋.とはいえ70年代のアメリカ盤で紙袋に入っているのはまだいい方で,米コロンビアの廉価版などジャケットにレコードが裸で入っていました.