帯広だより

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引っ越しました(04/10/06)

9月の初めに引っ越しました。といっても新築したとかではなく,大学の宿舎の中で別の棟に移ったのです。今度も築40年の古い家ですが,とりあえず一戸建てですし,部屋の数も前よりひとつ増えました。なにより三角屋根です。北海道に住むなら一度は住みたかった(笑)。12月になるとこの新しい(?)家に,新しい家族がひとり増えるはずです。

大学が法人になって公務員宿舎も法人の宿舎になり,それにともなって家賃も従来の2倍程度まで値上げされることになりましたが,それでも普通に考えて一戸建てに住める家賃ではない安い額です。法人になったとはいえこうしたことが国民の皆様の税負担に支えられていることには変わりがなく,たいへんありがたいことです。

とはいえ,やはりくたびれた古い建物です。また少しずつ手を入れながら住んでいこうと思います。噂では帯広市長さんがわれわれの宿舎の前を通りかかって,畜大の先生方があんなみすぼらしいところに住んでいるのはかわいそうだからなんとかしてやれないか,と学長に意見して下さったそうです。たしかにそうで,向かいにある農業高校の宿舎も同じくらい古いのに手入れが行き届いているのに対し,畜大の宿舎は屋根のペンキも色褪せていかにも貧乏くさい。まあわが国立大学法人は確かに貧乏なのでそれ相応とも言えるのですが,地域の人からあまり心配されるのもどうかなあと思います。

畜大村の冬(02/01/09)

畜大村の冬

朝起きて窓のカーテンを開けた妻が歓声をあげた。家のまわりの木々に樹氷がついて真っ白になっていたからだ。昨日の大雪で畜大村は陸の孤島化し,官舎には郵便すら届かなかった。駐車場や家のまわりの雪かき(北海道弁では「雪はね」)でみんなくたくたになり,大学までのたった10分の道のりも雪に膝近くまで埋まって,真冬に汗びっしょりになった。そんな苦労も忘れて,私と妻は朝のその光景に見とれ,私はデジカメを持って外へ出た。雪であんなにつらい思いをしても,朝のうち,ほんの少しの間しか見られないこの美しい光景ですべて癒されてしまう。だからわれわれはこんな所にでも住み続けていられるのだろう。

帯広に来て,この畜大村に住み着いてもう3回目の冬になった。その間に二人目の子どもが生まれ,2冊の本を書き,そして畜大をめぐるいろいろなことが大きく変化した。でも冬の畜大村の景色には何の変化もない。おそらく10年前も,20年前も,30年前も,きっと同じ景色だったのだろう。畜大がこの場所で残っていけるかどうかは,実は,おなじように変わらないことにこそ価値のあるようなものをこの大学がどれだけ持っているかにかかっているのではないかとも思う。畜大にはそういうものが十分にたくさんあると思うけどね。


帯広のいいところ(99/7/19)

FM-WING  帯広にはいろいろいいところがあるけど,まずFM局がたくさんあること.NHK(最近クラシックがますます減ってけしからん!)は当然として,NORTH−WAVEとAIR−Gの全道ネット局に加えて,FM−JAGAFM−WINGという2局の帯広ローカルがある.FM5局というのは私が住んでいたときの東京より多い(いまはどうなってんの?).この中でもとくにFM−WINGが私のお気に入り.古い,渋い曲がほんとによくかかる.これってCDになってたっけ?みたいなものが頻繁に聞ける.とくに日曜の夜はオールディーズから70年代くらいのポップスがCM抜きで数時間ノンストップでかかるのだ.その選曲の渋いこと.たとえば昨日かかっていたのを思いつくままあげると,「ビューティフル・モーニング」(もちろんラスカルズ!),「ガルベストン」(グレン・キャンべル),「ボーンフリー」(唄はシナトラ,そういえばマイウエイもかかった.シナトラ死んじゃったんだなあ),「サマータイムブルース」(ブルーチアー),フランス・ギャルやキンクスもかかったな.帯広恐るべし,あれだけの選曲をできる人がこの「イナカマチ」の中に確かにいるのだ!

自動車学校に通い始めた(99/6/16)

運転  東京ではふつう「自動車教習所」っていうけど,北海道では「自動車学校」,略称「シャコウ」ということが多い.学校が少ないからだろう(?).たいへんだよ,いじめられるよ,とさんざん脅されたけど,いまのところ先生方はみな紳士的だし,とくに嫌なことはない.
 学科の授業にいたっては面白くて面白くて,毎回楽しみにしている.講師はみな授業内容をきちんと把握しているし,視聴覚教材なども使ってわかりやすく話を進め,必要な内容はすべて講義して時間ぴったりに終わる.平均的な大学の講義よりも少なくとも講義手法としては洗練されていると思う.それでも一緒に授業を受けている若者たちはほんとに退屈そうに聞いている.いっぽう,ぼくをふくめ数少ない大人たちはまず例外なく楽しそうに授業を聞いており,講師がシャレなんかを言うとちゃんと受けるし,授業終了後はみんな満足そうに帰っていく.
 こういう現実を見ると,最近の学生さんが「大学の講義がつまらない,興味がもてない」というのは,必ずしも講義のせいだけではないのかも,と思う.大学でも編入生などの「おとな」の多くは,一般学生が楽しまない講義をみんな楽しそうに聴いてるし,よく学んでくれる.講義を楽しく聴くためには,聞く側にも一定の「技術」とか「経験」が必要なのだ.若い人がそういう「技術」や「経験」を養えない構造が,高校までの教育にあるのではないか.
 なんかまじめになってしまった.それはそうと,自動車学校の教育課程は,あちらこちらに明らかに心理学者の手が入っている.適性検査などは典型的なもので,YG検査を換骨奪胎したようなのが出てきて笑った.って笑ってるだけじゃなく答えないといけない.こういう質問紙法性格検査の常として,どれにどう答えればどう評価されるかは素人でもわかるし,こっちは専門家だ.でも,専門家だけにほんとに正直に答えてしまう.その結果,さまざまな面で注意して運転しないといけない人,という評価をされてしまった.やっぱり性格検査なんてクダラナイものは撲滅しないとだめだ.
 「運転」のシステムの説明(写真)も古典的心理学モデルだ.「まず状況を認知し,それをもとに(脳の中で)判断が行われ,それが筋肉運動による運転操作を引き起こす」.うそをつけー.で,重要性は認知が70%,判断が25%,操作が5%なんだって.今どきこんな機械論,まともな心理学者なら一笑に付すだけだよ.「判断」なんて心的機能を仮定しなくても,視覚刺激と運動感覚が筋肉運動を制御する継時的フィードバックのシステムだけ考えれば十分でしょ.だからこそ実車での訓練が本質的に重要なんだよね.もしほんとに認知と判断が大事なら実車に乗る前にその訓練を延々やるはずだけど,ぼくは初日から実車だもんね.体が動く前に認知や判断があるんじゃなくて,体が動かなければ認知も判断もないの.
 とはいえ自動車学校の教育は運転技術の教育だけじゃなく「言われたことに黙って従うことができるか」という一種の踏み絵だから,文句を言わずに習っております.ハンドルの回し方だって,実際にはみんな習ったのと違うでしょ.でも「こう回せといわれたらそのように回せる」ような人じゃないと,確かに運転は危ないよね.だから「言われたとおりできる」ってことを,がんばって示し続けないといけないのだ.

こんな家に住むことになった!(24MAY99)

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これがこんど住むことになった「官舎」(公務員宿舎)です.知らない人もいると思いますが帯広畜産大学は国立大学ですから,私も国家公務員文部教官,公務員宿舎に住めるのだ.官舎は大学の敷地内にあって,研究室からは徒歩で約10分.建物は昭和37年頃築のブロック造り平屋で2軒で1棟になっています.古いけれど造りはしっかりしているし,住めないことはありません.まあ多少直しましたが(国有財産につき詳細は秘密).しかし,最近の「写るんです」はホントによく写るんです.
しかし,これらの風景,車が最近のものでなければとても平成11年とは思えないでしょう? 家には広い庭(草むら?)があって,道を挟んだ向い側は大学の実験圃場(牧草を生やしている,馬も来る),まあ一日中ほとんど人は通りません.夜になれば近くのバス通りの通行も途絶えて本当に静か.明かりも少ないので星もきれい.朝は鳥の鳴き声で目覚めます.ここ数日はカッコウとヒバリの声が聞こえる.
post 当然,文化生活の便は悪い.帯広市街地にはバス以外の交通手段はないがそれも1時間に1本,車がなければどこへも行けません.最低限の生活必需品は大学生協で買えますが,生協以外には全く店はありません.徒歩10分以内には自動販売機すらないのです.でも,大学に来れば高速なネットワークで世界に繋がってるんだから,CDでも何でも通販で買えばいいし,情報も都会と変わりません.便利な世の中になったねえ.
水口君,谷岡さんからもらった郵便ポストは写真のように取り付けて活用しています.どうもありがとう.

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